旅と私

旅と私

私は物心がついた頃から、乗り物に乗ったり、どこかに出かけることが大好きでした。
しかし、私が旅らしい旅をするようになったのは、高校生の頃だったと思います。

高校生の頃から、20代の前半までは、鉄道の旅が主流でした。
20代半ばまでには、鉄道とバスを使って訪れることができる、国内の主な都市と観光地は訪れていました。

中でも、最も魅力的だったのは北海道で、毎年2～3回は訪れていました。今はなくなった北海道ワイド周遊券というのを使って、
有効期間一杯の20日間、道内の列車を乗り回したこともあります。
今ではとてもできませんが、1週間くらいは夜行列車に連泊したりもしました。

20代の半ばに運転免許を取得し、車を所有するようになってからは、ドライブ旅行も多くなりました。
ドライブ旅行の行き先も、一番多かったのは北海道ですが、南は鹿児島まで、車でもほとんどの都道府県を訪れています。

車での北海道の行き帰りにフェリーを使う機会が増えてからは、船旅にも強く惹かれるようになりました。
もしかしたら、私が一番好きな乗り物は船かもしれません。

それに反して、以前の私は、飛行機が好きになれませんでした。
いや、好きでなかったというより、とても乗る気がしなかったというのが正直なところです。
小学生の頃、見学で訪れた空港で聞いた、飛行機の轟音に恐れをなしてしまって、
機内はもっとひどい騒音に違いないと思い込んでいました。

私が、初めてイタリアへ、いや海外へ渡ったのは30歳の時でしたが、それまで行くことができなかった最大の原因が、
実は、飛行機に乗れないということだったのです。

ですから、20代の頃には、本気で船がシベリア鉄道で、イタリアへ渡ることを考えていました。
しかし、まず短期で下見に行くには、時間がかかり過ぎるし、当時は既に、交通費も飛行機の方が安くなっていて、
実現をいっそう困難にしていました。

そんな私が、30歳を目前にした29歳の時に、仕事の都合で、どうしても、東京から広島まで飛行機に乗らざるをえなくなりました。
結果は・・・中は思いの他静かでしたし、揺れもほとんどありませんでした。

これなら大丈夫だと、当時やっていた合唱の仕事を辞めた私は、その数ヵ月後には、初めてミラノのマルペンサ空港に降り立っていました。
その後は、日本とイタリア、ヨーロッパ内やアメリカへも何度も往復しましたから、飛行機にも随分乗りました。

でも、今でも飛行機が好きかと聞かれれば、好きではないと答えるでしょう。
堕ちるのが怖いからというわけではありません。
飛行機は、そう簡単には堕ちないものでしょうし、何よりも私は人間は基本的に寿命を定めて生まれて来ると思っているので、
定められた時が訪れた人は、たとえ飛行機には乗らなくても、何らかの手段で旅立っていくことになるだろうと思っています。

では、どこが好きになれないかといえば、第1に、搭乗前の保安検査等が面倒なことです。
近年の社会情勢により、ますます保安検査が強化される傾向にあり、気軽に乗れる状況ではなくなりつつあるように思えます。
第2に、一般座席が窮屈過ぎて、自由に機内を移動することもままならないこと。よって、10時間を越えるようなフライトは、特に苦痛であること。
第3に、特に短距離では、旅の醍醐味でもある移動中の様々な変化を実感することができないこと。などでしょうか。

しかしながら、限られた時間で旅をするのは、やはり飛行機は便利なものです。
実は何を隠そう、国内の観光旅行で飛行機を使ったのは、今年（2006年）の沖縄旅行が初めてでした。

沖縄へは20年以上前から行きたかったのですが、行く時には船でと決めていたのです。
ところが関東から沖縄への船便は、便数も少なく、現地での観光日数も入れたら、かなり長期間になります。
ましてや、離島も船で巡ろうとしたら、世界一周旅行並みの日数が必要です。
そのため、小笠原へは行っても、沖縄旅行は、今まで実現できなかったのです。
沖縄は、47都道府県の中で、私が最後に訪れた県となりました。

外国で訪れたことがあるのは、ヨーロッパとアメリカ、カナダです。
ヨーロッパでは、6年間を過ごしたイタリアを始め、旧西ヨーロッパの国々は、ほとんど訪れました。
旧東ヨーロッパでは、スロベニア、チェコ、ハンガリー、エストニアを訪れました。

イタリアで印象に残っているのは、シチリア島やサルデンニャ島、その他のヨーロッパでは、ベルリン、アムステルダム、スペイン、北欧諸国
などが忘れられません。北極圏のオーロラなども一度は見る価値があるでしょう。いや、一度見ると何度も見たくなるかもしれません（笑）。

また、変な話ですが、私は3回ラスベガスを訪れているのですが、一度も賭け事をしたことがありません。
3回とも、昼間はホテルのプール際で寝そべって、夜はショーをハシゴしていました（笑）。

さて、前置きで書くはずの文章が長くなってしまいましたが、この「旅行雑記」は、いわゆる旅行記にはならないと思います。
私は、旅行中、気の向くままに感慨に耽って、恍惚状態？となるので、細かい記録などは残さないのす。
ですから、断片的な強い印象は残っても、順を追って紀行文を書くようなことは、できそうもないのです。

そのようなわけで、これから、どのような展開になるか分かりませんが、気の向くままに、私が旅行中や、旅行を通して知ったこと、
感じたことなどを、少しずつ書いていきたいと思っています。

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