ベルカント唱法とは数百年の歴史を持つ、イタリアの伝統的な発声法です。
ベルカントを直訳すれば「美しい歌」ということです。
「美しい歌声」やその唱法のことを言います。
それは、人間の喜怒哀楽の感情を自由に表現できる声です。
そのためには、少なくとも2オクターブの音域が自由にコントロールできなくてはなりません。
そして、何よりも自然な声である必要があります。
なぜならば、最も自然であることが、最も美しいことに他ならないからです。
歌声が自然であればあるほど、それは聴く人にとっては心地良いものとなります。
それでこそ、音楽は音楽としての使命を果たせます。
音楽とは日常生活に疲れた人々を、ある時は慰め、ある時には励まして、
人々が明日への活力を生み出すための手助けをするためにあるのだと思います。
その力の源が音楽の美なのです。それは、まるで女神のように人々を癒します。
もし、歌声が不自然なものであれば、それは到底美しいものとしては人々に感じられません。
そうなってしまっては、もう音楽は音楽としての使命を果たすことができないのです。
不自然な声は、むしろ雑音となって、人々に不快感を催させてしまうことさえあります
それはとてもとても悲しいことです。
だから、そうならないように、私達、歌を志した者は、少しでも自然で美しい声を獲得するために、
研鑽を積み続ける必要があるのです。